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4月12日「源氏物語」を読む会を行いました

今回は「薄雲」の巻、明石の君と姫君とが別れ別れとなる、「子別れ」の場面です。
 
今生の別れになるかという切々とした母親の思いとは異なり、状況が分からぬ姫君はどこかへお出かけかと母の袖を引き「乗り給へ」誘います。その無邪気さが母親の深刻な思いを際だたせる。
 
「末遠き二葉の松にひきわかれ いつか木高きかげを見るべき」
 
と明石が歌を詠みます。歌の贈答とは、男が詠み掛けそれに女が応えるのが順です。ここで明石が先に詠んでいるのは、贈答を意識しているというのではなく、心の底から湧き起こる思いが強く、歌を詠まずにはいられない状況なのです。
 
「二葉の松」は姫君、「木高きかげ」とは成長した姫君の姿の比喩なのでしょうが、大木とは閉じられた宇宙であり豊かな生命力を持ち永遠に続く権力の比喩にもなります。かわいい姫君を源氏の元に差し出す理由は、姫君の社会的地位の向上のためなので、強固な権力の比喩と考えても間違いとはいえないでしょう。
 
「引き別れ」は、直前の手を「引く」が意識された語です。また初子の日に小松を引くという行事があったことから「松」の縁語でもあります。とすると「引く」という語は、「悲しく苦しい離別」と「めでたい門出、要するに賀」の両意を含意した語といえます。「引く」の語は「辛い別れ/めでたい門出」というこの場の両意を表した語であるのです。
 
「末遠き」も珍しい語。「末永き」がよく聞く言葉です。「松」は「待つ」と掛けられ詠むことが多いことを考えると、「姫君との再会までが遠い」ことを暗示しているのではないでしょうか。
 
表現のひだを味わうとなかなか奥の深い一首でした。
 

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